私のご主人様Ⅱ

「琴音ちゃん、悪いけど、今日は部屋でお嬢と食べてね。暁は広間に」

「見張りはいいんすか」

「大丈夫。相須さんが見張りで立つことになってる」

奏多さんが顔を見せたのは丁度ご飯を運ぶときだった。

拒否権なんかなくて、頷くことしかできない。

「あ、運ぶのは俺たちでやるから、琴音ちゃんは自分とお嬢の分、分けてくれる?」

運ぶことさえさせてくれないんだと少し驚いたけど、また頷いて言われた通りにする。

それしか選択肢なんかないから。

2人分を分けている間に大広間に食事は運び終わっていて、暁くんだけが戻ってきて2人で梨々香ちゃんの部屋に向かう。

いつもなら少し音がする廊下も、誰もいないのがはっきりと分かるくらい静かで気持ち悪かった。
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