私のご主人様Ⅱ
奇襲
「てめぇ誰だっ!!」
「「!?」」
襖の向こうから聞こえてきた相須さんの怒声に目を見開く。
…暁くんたちじゃない。それどころか、永塚組の人でもない。
緊張が身体中に走る。
まずい…この部屋の出入り口は今相須さんがいる襖だけ。窓があるにしても、外へ逃げるのが正解なのかも分からない。
足音からして今いるのは1人。なら、増える前に相須さんと協力して逃げ道を確保できるか…?
「ことねぇ、今のうちに大広間に行こ。今からまだ行けるかもしれない」
「コク」
梨々香ちゃんも窓から外に出るつもりはないらしい。
応戦するにせよ、とにかく早くしなければ手遅れになる。
梨々香ちゃんと手を取り合い、襖に近づく。少し開けると、相須さんの背が広がるばかりで奥が見えない。
でも、開けたことに気づいたのか相須さんは手を後ろに回し、反対側を示す。