私のご主人様Ⅱ

あれは奇襲?でもなんであんな姿なの…?

分からないことだらけで頭が混乱しながらも先に進んでいると、背後から重たい音とうめき声、遅れて人が倒れるような音がする。

振り返ると、こちらに背を向けた相須さんが謎の巨人の足元で倒れてしまっていた。

…嘘でしょ。…まずい!!

梨々香ちゃんの手を取り、先へ進む。背後から重い足音が速度を上げて近づいてくるのが分かる。

「ことねぇっ」

「…行って!!」

チラッと振り返った瞬間、巨人が梨々香ちゃんの肩に手を伸ばすのが見えた。

とっさに梨々香ちゃんを引き、背を押して先に行かせる。梨々香ちゃんの肩をかすめた手を叩き落とす。

梨々香ちゃんが走っていく足音を背に、巨人に向き合うけれど、その大きさに不利だなんて苦笑する。

それにしても、この人ひどい格好だ。

身長は軽く見ても190はある。そんなでかさなのに髪の毛も髭も伸び放題で床を擦りそうだし、着ている服も汚れがこびりついてる。髪の毛に隠れて目も見えない。

でも、威圧感だけはすごくて、気を抜くと飲まれそうになる。
< 163 / 323 >

この作品をシェア

pagetop