私のご主人様Ⅱ
どう出るか…。こっちから手を出すのは無理。とにかく相手が動くのを見極めないと…。
「…お嬢と若を返せ」
「…?」
お嬢と若…?梨々香ちゃんと季龍さん?
返せって、どいうこと?この人何者…?
じっと見ていると、巨人は腕をあげ、握り拳を作る。
「邪魔するなら、女でも容赦しない!」
「…」
降り下ろされる腕。迫り来る拳を見つめ、それが顔に当たる直前、左足を軸に右足を後ろに下げる。
顔の横を通りすぎた拳を掴み、勢いを殺させないうちに思いっきり引く。前屈みになり、不安定になった足元を引っかけた。
「!?」
完全に体制を崩したところで手を離し、数歩離れると、ほぼ同時に巨人は前から倒れた。
ズンッと重い音が響き、床が振動する。
ふぅ、久しぶりだったけどなんとかできた。手が届かないところまで下がり、様子を見る。