私のご主人様Ⅱ

さーてと、大広間まで逃げるかな…。梨々香ちゃんも伝えてくれてるはずだし。

でも相須さんの様子も気になる…。どうするべきかな。

…それにしても、この人だけ?

たった1人で奇襲なんて考えられないけど、人の気配なんかしないし、騒ぎが起こってる様子もない。

どういうことなんだろう。それに、この人の格好、普通に生活していたなんて考えられない。

なんか訳ありっぽいけど、全然分からない。

…って、この人なんで動かないの?もしかして打ちどころ悪かった?え、息してるよね?

でも、下手に近づくのは嫌だな。死んだふりされてたら、一瞬で捕まる。流石に捕まって逃げられる自信はない。

「…」

「…」

やっぱり大広間に行こう。事態を伝えるにも、このままこの人が追いかけてきたとしても、私だけでは拘束も出来ない。

何歩か下がり、背を向けてちょこちょこ走る。走ってるつもり。着物じゃ歩幅が狭いんです。

しばらくして、背後から重たい足音が聞こえてくる。やっぱり死んだふりか!ヤバイ、追い付かれる!!
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