私のご主人様Ⅱ

「…奏多?」

「…は?え?」

不意に聞こえてきた声に振り返ると、たくさんの組員さんに組み敷かれた巨人と奏多さんが対峙してる。

…奏多さんのこと、巨人さん知ってるの?

どういうこと…?

じっと見ていると季龍さんに肩を引かれ、背に隠される。組員さんたちが季龍さんに道を開け、できた道を進み巨人さんの前まで出た季龍さん。

その季龍さんに視線を向けた(ぽく見える)巨人さんが息を飲んだような気がする。

「わ、若…?」

「…お前、誰だ」

巨人さん、季龍さんのことも知ってるの?…って、返せって言ってた若ってやっぱり季龍さんのことで合ってたんだ。

で、奏多さんも季龍さんも分からないって、本当にこの人何者?

巨人さんは自らもじゃもじゃの前髪(前髪らしきところ)をかきあげて顔を見せる。その顔も髭もじゃでよく分からないけど。

巨人さんの顔を季龍さんはもちろん、組員さんも凝視する。
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