私のご主人様Ⅱ

悩んでいると、背中に氷塊が滑り落ちる。

振り返る前に背中に迫った拳を掴み、その勢いを利用して相手を、誰もいないプラス机のない場所にひっくり返して叩き落とす。

…あ。

「ってぇ…」

「「「おぉ…」」」

ひっくり返してしまったのは暁くんで、顔から血の気が引いた。

痛みに耐える暁くんと、感心するような歓声が静かに上がる。

あ、暁くんだったとは…。反射的にやってしまった。

すぐに助け起こして、打ち付けてしまったところを擦ろうとして手が止まる。

えーと、どこだ?背中?後頭部?

とりあえず頭を撫でると、決まり悪そうな顔をされてしまった。

「ここちゃんが言ったことってそういうことか~」

「暁、どうだった?」

「一瞬過ぎて分かりませんよ。琴音、もういいから」

頭を撫でていた手が捕まれて強制終了。普段あまり出来ないからもうちょっと撫でてたかったという本音。
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