私のご主人様Ⅱ

源之助は青海に視線を向け、苦笑を浮かべる。

「悪かったな。一応、この組を預かる永塚 源之助だ。歓迎する」

「いえ、ありがたいお言葉。自分は青海 辰昭(おうみ たつあき)と申します。よろしくお願いいたします」

「おう。よろしくな」

寛容な態度で青海に向かった源之助は、上座に移動し、腰かける。いつの間にか彼に付き添うように田部が控える。

「んで、季龍、青海はどこにつける」

「元々梨々香の護衛でしたので、正式に梨々香につけようと思います」

「そうか。梨々香がいいと言うなら構わんが、青海お前は」

「異論などありません。自分はお嬢と若がお守りできるなら、それで」

「なら、決定だな。んじゃ、青海、お前がここまでたどり着いた経緯を教えてもらおうか」

源之助の言葉に場の空気が引き締まる。

それが1番の謎だ。季龍と梨々香を追い、ここまで来た青海。その方法次第では彼らは大きく動かなければならない。

緊張感に包まれる中、不意にノックが鳴り襖が開く。
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