私のご主人様Ⅱ
「もう寝ろ。おやすみ」
「おやすみなさい、お兄ちゃん」
微笑んだ梨々香は立ち上がり、部屋を出ていく。
広い部屋で1人残った季龍は深く息を吐き出し、前髪をかきあげる。
これからしなければならないこと、守るために気を張らなければならないこと。
そんなことが次々に浮かんでは思考を掻き乱していく。
「…はぁ」
ため息がやけに後を引く。
この道を選んだのは自分自身。それを受け入れ、共に着いてきてくれた仲間がいる。
その仲間を裏切るわけにはいかない。
だから、この重圧に負けることも、屈することも許されない。
顔を上げる。立ち止まっている場合ではない。立ち止まれば負ける。守らなければならないものたちを守れなくなる。
立ち上がり、広間の電気を消すとその場を後にした。
客観視end