私のご主人様Ⅱ

「ことねぇ!水着買いに行こ!」

「…?」

出ていいのかな?首をかしげると、平沢さんがやって来て、一緒についてきてくれることになった。

「今日は特別だかんな。買いもんはフリーの時にせぇよ」

「分かってるよぅ。水着買ったらすぐ戻るってお兄ちゃんと約束してるし!」

「お嬢偉いな。それじゃ、行こか」

平沢さんに背を押され、梨々香ちゃんに手を引かれて外へ出ようとすると、あっと、思い出したように平沢さんが声をあげる。

「2人ともお小遣い持ってるんか?」

「?」

「っあ、忘れてたっ!ことねぇ!お部屋戻ろ!」

「焦らんでいいからな~」

平沢さんの声に、梨々香ちゃんははっとして走って3階の部屋に戻る。

と、お部屋に入るとさっきまでなかったはずの茶封筒が2つ机の上に置いてあった。それぞれ達筆で梨々香ちゃんと私の名前が書かれていた。

「??」

「お父さんからのお小遣いだよ。組員はみんな、ボーナスだけどね。ことねぇも、これはもらっていいのだからちゃんともらってね」

はいと私の名前が書かれた方の封筒を押し付けられる。

思わず受けとるけど、もらっていいのか悩む。と、とりあえず。中を見てすぐ閉じる。

ダメなやつだった。
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