私のご主人様Ⅱ
5万も入ってました。こんなにもらえない。というより、私が自由に使えるお金なんかもらっちゃダメでしょ。
だからといって、水着を買うお金も持ってない。
正直、本当に正直なことを言うと海は苦手。プールと勝手が違うからうまく泳げなくて溺れかけたことがあってからは余計に。
「ことねぇ、行こ!」
…でも、梨々香ちゃんの楽しそうな顔を崩したくない。
手を引かれるまま部屋を出てエントランスに戻ると、平沢さんと3人で外へ出る。
別荘地のようだけど、人影はほとんどいない。慣れたように歩き出す梨々香ちゃんにつれられるまま歩いていくと、別荘地から離れ、人は増える。
どうやらお隣は海水浴場らしく、大勢の人で賑わっていた。
「人いっぱいだね」
「ナンパされんじゃないぞ。めんどくせぇから」
「こんな怖いおじさんいるから大丈夫でしょ」
梨々香ちゃんと平沢さんのやり取りを聞きながら、たどり着いたのは水着からサーフボードまで、海で遊ぶための道具やらがあらかた揃ってるショップだった。