私のご主人様Ⅱ
赤くなった頬を見られたくなくて、うつむくとそろそろと季龍さんから離れてソファーに戻る。
心臓が大きく音を立てる。
さっきと同じ。なのに、その熱の理由が分からない。
「…」
どうして、私はこんなにも緊張しているんだろう。
怖くない。この状況が嫌なわけでもない。むしろ、居心地のよさすら感じているのに。
なのにどうして、こんなにも心臓は高鳴りは収まってくれないんだろう。
それを無視するように本に集中する。
でも、頭の中に内容は入ってこなくて、文字を追うだけの作業になってしまう。
それでも構わず本をめくり続けて、謎の高鳴りを無視し続けていた。