私のご主人様Ⅱ

今日は特別で、いつもなら季龍さんが座る席に梨々香ちゃんが座る。

あとのみなさんは立ったまま、主にお酒が入ったグラスを持つ。

「それじゃあ、お嬢の誕生日を祝して。かんぱーい!!」

「「「「「かんぱーい!!!」」」」」

伸洋さんの声で、一斉にグラスを掲げ一気飲みをする人もいれば、ひと口飲んだ人もいる。

私はというと、ジュースをもらって傍にいた奏多さんと暁くんのグラスを交わしてひと口だけ飲んだ。

そのまま流れはいつもの夕食のようになる。いつもと違うのはイスがないので立ったままであることくらい。

そのせいか、今日は立場関係なく移動している人が多いように感じた。

「ことちゃん。これうめぇな」

「平沢さん、せめて立ち止まって食べません?」

「なんだぁ、奏多。自分らだけ花の傍独占しようってか?」

「いや、そういう意味じゃなく…」

平沢さんもその1人で、片手にビール、もう片方にチキンを持ってやって来る。

確かに奏多さんが言いたくなるのは分かる。移動しながら食べるのはなかなかリスキーだ。
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