私のご主人様Ⅱ
「…琴音、来い」
「?」
呼ばれて首を動かすと鈍い痛みに顔をしかめる。
う、上向きすぎた。
季龍さんを見ると、手を差しのべられていてなぜか頬が熱くなる。恐る恐る手を伸ばし、その手に自分の手を重ねると力強く引かれる。
目の前にいる季龍さんに赤い頬を見られたくなくてうつむく。
やっぱり変だ。手握られるくらいどうでもないのに。奏多さんたちには抱きついてもこんな風にならないのに。
うつむき続けていると、頭にポンッと乗ったぬくもりに顔をあげる。
あ、頭撫でられてるっ!!
更に熱くなった頬どころか顔全体。頭が真っ白になって硬直した。
「…梨々香のこと、ありがとな」
「!?」
「お前のおかげで梨々香と話しやすくなったような気がする。…俺はずっと寂しい思ばかりさせていたから、梨々香も遠慮していたんだろう」
お、お礼を言われてるようなことじゃないのにっ!!
首を横に振ると、季龍さんは眉を潜めてしまう。