私のご主人様Ⅱ

1人残された海岸で、海を見つめる。

昼間は太陽の光に反射してあんなに輝いていた海。

なのに、夜は果てのない暗闇のように見える。すべてを飲み込んでしまいそうなほど、暗い海。

「…」

不思議と恐怖を感じない。それどころか、好奇心すらある。

この暗闇の向こうは、どこに続いているだろう。向こうに行けば、逃げ切れるだろうか。

「琴葉」

「!!?」

う、そ…。なんで?なんでここに…。

微笑んで私を見つめるお母さんの姿に目が離せなくなる。

どうして。今まで夢に出てきてくれなかったのに。1番辛いときに抱き締めてくれなかったのに。

なんで、今出てくるの?なんで今なの?

「お、かあ…さん」

「ニコッ」

「なんで…?」
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