私のご主人様Ⅱ

微笑んだままそこに佇むお母さんに手を伸ばす。

なんで?お母さん、なんで今なの?どうして、今まで傍にいてくれなかったの?

私のこと、どうでもよくなっちゃったの?

「お母さん…」

「…」

ふっと表情を失ったお母さんに、息が詰まる。な、に…?

ざっと、波の音が大きくなる。目を背けようとした次の瞬間、お母さんが波にさらわれるように遠くなっていく。

「ッ!?お母さん!!」

ダメッ行っちゃいやだ!!

さっきまで動かなかった足が動く。なのに、追いかけても追いかけても、お母さんに手が届かない。

なんで、なんで置いていくの!?

嫌だよ。1人にしないでよ。
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