私のご主人様Ⅱ
覚えてるのは、梨々香ちゃんの誕生日だったこと。そのために料理を作ったこと。季龍さんと星空を見たこと…。
それはなんとなく覚えてるのに、あとはなにも覚えていない。
どうやって部屋に戻ったのか、そもそも自力で戻っているのかさえ思い出せない。
それを奏多さんと暁くんに伝えると、2人とも表情を険しくさせてしまう。
「…そっか。疲れてたのかもね。大丈夫、俺たちがいるからね」
「…コクン」
「役割もやらなくていい。特別休暇だって、親父さんの決定だから、琴音は休んでろ」
「………………………………コク」
思わず首を横に振ろうとしたけど、なぜか出来なかった。
浅く頷くと奏多さんに抱き締められる。
嬉しいはずなのに、心は動こうとしない。
どうしたんだろう、私。なんか、疲れちゃったな…。
眠たいな…。気づけば目を閉じていて、底無し沼に引きずられるように気を失った。
そしてまた目を覚ましたのは、5日も経ったあとのことだった…。