私のご主人様Ⅱ

「奏多さん、琴音は…」

慌てて戻ってきた暁はベッドに駆け寄るなり琴音ちゃんの顔を覗き込む。

でも、起きているはずなのに視線が合わない琴音ちゃんに表情を歪める。

「琴音、どうして…。あんなに楽しそうにしてたじゃねぇか。あれは、無理してたのか…?」

「…暁、水飲ませてあげて。若のとこ行ってくる」

「はい…」

暁に任せておけば大丈夫だ。看病は暁の方がずっと得意だし、それに…。

チラッと見た暁の顔は、柔らかい。琴音ちゃんが起きているときはわざと険しい顔をしているけど、琴音ちゃんが寝ているときはとても穏やかな顔をする。

琴音ちゃんが心配で、命令で外に出ることがあっても、速攻で終わらせて屋敷に戻ろうとする。

素直になれないだけで、琴音ちゃんが大切で仕方ないんだ。

今度こそ部屋を出て、若の部屋に向かう。
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