私のご主人様Ⅱ

気を失ってから良くなったのは、声が少しずつ出るようになったこと。

でも、琴音ちゃんが無理をしてるのはすぐに分かる。例えば、緊張すると声を出すどころか表情さえ消える。

若に会っただけでそうなった。他の組員には全然大丈夫なのに、若だけが…。

それを察した若は部屋から出ないし、琴音ちゃんは逃げるように外に飛び出した。

あんなことがあったから海に出すのは怖かったけど、砂浜で遊ぶ琴音ちゃんに止めろとも言えないままその場で過ごしていた。

「琴音ちゃん、花火やる?」

「!コクコク」

「え、そんなのありましたっけ?」

「実は買っといた。持ってくるから、バケツに水入れといて」

日が沈み始めたのを見計らって声をかけると、琴音ちゃんは目を輝かせる。

暁に琴音ちゃんを任せ、一旦屋敷に戻る。すると、屋敷に入った瞬間に待ち構えていたようにそこにいた若に背筋を伸ばす。
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