私のご主人様Ⅱ
「琴音は」
「多少不安はありますが、役目はこなせると思います」
「そうじゃない」
え、それを聞きに来たんじゃないのか…?
思わず眉を潜めると、若は少し開いたドアの隙間から外を見つめる。
「あいつが立ち直っているように見えるか」
「…いえ、思いません。いくら俺たちが優しくしても、琴音ちゃんの根本的な傷を埋めることにはならないと思います」
それはずっと思ってきたこと。
俺たちがいくら優しく接していたとしても、琴音ちゃんがここに慣れて、緊張がほぐれるだけ。
俺たちじゃ、家族の代わりにはなれないし、その寂しさを埋めてあげることはできない。
俺たちは、あくまでも同じ主人の元で働く者でしかないから…。
若は俺を見ると、また外を見つめた。