私のご主人様Ⅱ

「あいつを見てるとなにか思い出しそうになる。…実際、思い出せてないけどな」

「それは、嫌な思い出ですか?」

「いや、それはないな。…あいつを頼む」

「はい」

若は外から視線を外し、部屋に戻っていく。

それを見送ってから急いで部屋に戻り、花火を持って海岸に戻ると琴音ちゃんが嬉しそうに駆け寄ってきてくれた。

「は、な、……………ひ!ムッ」

「はいはい。テープ外すの手伝ってね」

びって言えなくてむっとしてる琴音ちゃんを撫でて一緒にセロハンテープを外す。意外にこれがめんどくさい。

暁も加わって全部外してから早速花火に火をつける。

「!」

「おぉ」

「手持ちでも結構きれいですね」

四方八方に火花が飛ぶ、線香花火を大きくしたような花火に思わず目を見張る。

それが消えないうちに火をもらうけど、それがうまくできなくて火が消えちゃうのも定番だ。
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