私のご主人様Ⅱ

始業式が終わって教室に戻る頃には、高崎さんはクラスの人気者になっていて、私に声をかける暇もないようだった。

私を除く女子たちが集まっている光景は気色悪くて、あんな集団を保たなきゃ生きていけないのかとバカバカしくなる。

こういうところはお嬢様も変わんないんだよなぁ。そう考えるとふわちゃんは変わってたのかも。

…って、また失礼なことを。軽く頭を振って、課題をパラパラめくった。

「ね、ねぇ。さっきはごめんね?」

突然かけられた声に驚いて顔を上げると、高崎さんが目の前にいて、さらに驚く。

え、今まで集団の中心に埋もれてたよね?すごいなこの子…。

変な意味で感心してしまった。それは置いていて!!

首を横に振ってまた視線をそらす。彼女はいいとして、めんどくさいのは背後にいる女子たち。

もうあなたたちに関わりたくないです。ほとんど関わってないけど。

「名前、教えてくれる?」

「高崎さん、嫌がってるし、ほっときなよ。ね?」

「でも…」

…あーもう。うるさい。

席を立ってわざと廊下に出る。

お願いだから刺激するようなことするな。その善意がただでさえ悪い状況を悪化されることをあるんだから。

さんざん経験してきた。もう、間違えたりしない。
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