私のご主人様Ⅱ
翌日。
流石にテストは休めないそうで、お隣には季龍さんが難しい顔でスマホを見ていた。
やっぱり忙しいんだろうな。明日からはまたお休みされるのかもしれない。
「季龍くーん。久しぶりぃ」
「ねぇ、一緒に遊ぼう?」
…この人たちの執念には呆れるばかりだ。教室に入った途端群がる女子にため息をつく。
季龍さんは全く相手にしてないのに猛アピールしている女子たち。
めげるどころか体を寄せるわ触るわ…空気読まない集団だな、これ。
とりあえず見て見ぬふりをする。ここで下手に突っ込んでいって反感買いたくないしね。
季龍さんなら一言で蹴散らせるだろうし…。というわけで、知らんふりです。すみません、季龍さん。
「葉月さん、おはよ」
「“おはよう。麻夏くん”」
「これ、分かる?」
二言目には問題を聞いてくるのが麻夏くんらしい。頷くと前の席に座って参考書を渡される。
…これ、範囲外じゃん。麻夏くん国立大学でも狙ってるのかな?
まぁそれはまた今度で。いつも通りノートに書き込んだ。