私のご主人様Ⅱ
書き終わるとノートをじっと見つめた麻夏くんはへぇと声を漏らす。
「葉月さん、なんか変わった解き方するよね」
「!?」
なんですと!?そんなに変な解き方を教えてた!?
「悪い意味じゃなくて。参考書と違う解き方でもちゃんと正解してる。だから、すごいって意味」
「…」
そ、そうなんだ?私知らないうちに自己流になってたのかな。
麻夏くんはこれもとまた問題を見せてくる。それをまた解くと麻夏くんは表情を和らげた。
「葉月さん、大学狙ってるとこある?」
「?」
大学?まだ1年生なのにもう進路の話かぁ。考えたことなかったな。…でも、大学までは行けないと思う。
今でもよくしてもらってるのに、大学まで行かせてもらうわけにはいかない。…帰れたら、行けるかな。
苦笑いを浮かべて、首を横に振る。どのみち、今の私に進路を心配するだけの余裕はない。
「…もったいない。葉月さんなら、国立も狙えそうなのに」
曖昧に笑って誤魔化すと、麻夏くんはそれ以上この話をすることはなくなった。
察してくれたんだろう。申し訳なさは感じたけどそれ以上にほっとした自分がいた。