私のご主人様Ⅱ

「初めてまして!高崎詩音っていうの。昨日転校してきたんだ。名前、教えてくれないかな?」

不意に響いた高い声にまたも視線を奪われると、これまた仰天。高崎さんが季龍さんの目の前を陣取ってた。

しかも、さっきまでその辺りにいた子達はポカンとした顔で高崎さんを見てる。

いや、その子達だけじゃない。クラスメイトのほとんどがそんな顔をしてる。

何が起きた?

状況は飲み込めないものの、こんな状況でも高崎さんを一目さえ向けない季龍さんに、相当立て込んでるんだろうななんて考えてしまう。

気まずい沈黙が落ちる。話すタイミングを失って、異様な静けさが教室を包む。

「ねぇ、聞いてる?」

「あ?」

へこたれてなかった高崎さんは、まさかの季龍さんが持っていたスマホの画面を遮るように手で覆う。

まさかの行動に愕然とし、流石の季龍さんも無視できず顔を上げる。

それでも高崎さんは笑みを保ったまま季龍さんを見つめた。
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