私のご主人様Ⅱ
「邪魔するな」
「っえ?」
「葉月さんは、俺の友達だから。取るな」
ハッキリとした麻夏くんの言葉に高崎さんは口を閉ざす。
でも、その顔はすぐに余裕の色を取り戻した。
「琴音は、あなただけの友達じゃないよ。そういう独占欲みたいなのやめてあげなよ。琴音も迷惑だって」
「なら、あんたもやめてあげれば?葉月さん、俺が呼び止めても嫌がらないけど、あんたが近くにいるの嫌がってるじゃん」
「っ!?そんなことないよ。ね、琴音」
「…」
少し焦ったような顔。
高崎さん、本当に嫌なタイプだ。自分は悪くないと言うように、言葉巧みに相手を追い詰めようとする。
計算高くて、ずる賢い。こんな人に巻き込まれたくない。
捕まれていた手を振り払い、麻夏くんの背後に隠れる。
高崎さんの表情が初めて歪んだ。
「俺の方がいいって。…葉月さんを巻き込むな。性悪女」
「っ!?っ琴音のバカ!そんな変な頭して、友達もいなさそうだから心配してあげたのに!もう知らない!!」
一気にたてしまくると、背を向けて教室に入っていく高崎さんにホッと息を吐く。