私のご主人様Ⅱ

「喋れない子が接客とか無理じゃん。厨房でいいでしょ」

悩む間もなく告げられた言葉に視線を向けると、季龍さんの取り巻きの1人と視線が合う。

あからさまな挑発だけど、別に気にすることはない。

視線をそらすと、早く決めろとヤジが飛んでくる。…進行邪魔するのはダメか。

思い直して、困惑した顔の学級委員を見て、厨房の方を指差した。

そしてまた視線をそらし、冷蔵庫の中身を思い浮かべる。

今日は親子丼にしようかなぁ。お味噌汁と漬物出して、後何か1品くらい…。

「季龍くんは接客で~」

「高崎さんは厨房でいいんじゃない?」

話はどうやらこの場にいない2人の役割決めに移ったらしい。どう考えても厄介払いだ。それに、呼び方が高崎さんって…。

分かりやすくて笑える。

「2人には後で確認します。人数もうまく分かれているからどちらに入っても大丈夫でしょう」

流石に先生も気づいたのか、咎めるような声でそのまま決定しそうになったのを抑える。
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