私のご主人様Ⅱ

とりあえず、さっきから寝ぼけてる琴音を邪な考えで見ているやつらが気に食わねぇ。

そいつらを睨み付け、琴音の腕を掴んで立たせる。

「寝るなら車で寝ろ。帰るぞ」

手間がかかる…。琴音と自分のかばんを片手に持ち、琴音の腕を掴んだまま教室を出ようと足を進める。

「…なりゅやいたい…」

背後から聞こえた声に、一瞬動きが止まる。

少しだけ振り返ると、まだ眠たそうな顔で目を擦っている琴音の姿が見える。

…こいつ、まだ寝ぼけてやがる。よりにもよって、男の名前なんか出しやがって…。

再び前向き、琴音を引っ張って行く。

「ん~」

まだ寝ぼけたままの琴音は眠たそうな声を出す。

歩きながら寝るのか、こいつ…。ここまで起きないと流石に戸惑う。

いつも行動が素早く、朝も帰りも寝起きはいい。それがこんなに寝ぼけているのは初めて見る。

よほど疲れていたのか、それともただ起こしたタイミングが悪かったのか。

とにかく誰かに見られるのは気に入らねぇ。
< 313 / 323 >

この作品をシェア

pagetop