私のご主人様Ⅱ
「…き、………りゅ………さん?」
「…」
掠れたような声に呼ばれ、視線を向けると心配そうな顔で俺を見上げる琴音は、微かに手を震わせている。
「…怖いなら、呼ぶんじゃねぇ。そうやって震えるくらいなら大人しくしてろ」
「ッ!?…こ、わく……ない」
「ならなんで手が震えてんだ!」
「ッ…」
声を荒上げただけで大きく跳ねる肩。
琴音は手だけでなく体中を震わせ、深くうつむく。
それにまたイライラが募っていく。
「ッチ。喋るんじゃねぇ。んな顔するぐらいなら、俺の前に出てくるんじゃねぇ」
「若!理不尽に怒るな。ここちゃん、気にしなくていいよ」
伸洋が口を挟んできたが、琴音は俺から離れ、ドアに貼り付くように身を小さくして顔を伏せた。
無駄だ。こいつの主人は俺。琴音は俺の言うことを第一に動く。それはこれまでの行動で何となく分かっていることだ。