私のご主人様Ⅱ

「琴音ちゃん、食べたくないの?」

「…コク」

「分かった。でも、全く食べないのはダメだから。部屋に持っていくから休んでていいよ」

「…」

奏多さんと暁くんが出ていった台所で、急に体の力が抜けそうになり、慌てて手をついた。

季龍さんを怒らせた。それだけでも最悪なのに、怒ったきっかけが分からないという、解決方法が分からない問題に直面してしまった。

教室で寝てしまったから?ずっと寝ぼけてしまったから?手間がかかって、面倒だったから?

でも、それならもっと早く怒るはず。あのタイミングで怒った理由にならない。

深くついたため息と共に、洗い物を始める。

とにかく、季龍さんに極力会いたくない。また怒らせるようなことをするわけにはいかない。

それに、気持ち悪いせいで食欲が全くない。このところよくなったかと思ったけど、また戻ったみたいだ。

どのみち、食べなくていいなら理由もできていいじゃないか。

そう思うことにして、使ったら調理器具を片付けると前掛けを取って洗濯機に放り込み部屋に戻って横になった。
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