私のご主人様Ⅱ

どうして、こうなっちゃったんだろう。

どうして、自由になれないんだろう。

もう5ヶ月経った。本当なら今ごろ、普通の高校生でいられたのに。

やりたいことも、いっぱいあったのに。

どうして…。

窓から見える月に手を伸ばす。まるで牢屋の中にいる囚人のようだ。決められた時間に決められた仕事をして、自由に外に出ることさえ許されない。

「…」

帰りたい。お父さんと、成夜に会いたい。辛かったけど、帰る場所がある、あの街に…。

首元で揺れたネックレスを握り締める。

やっぱりあの時がラストチャンスだったんだ。あの時、警察にすがり付いて、助けを求めていれば…。

こんなものを付けられる前に逃げ出せたのに。

首輪も足枷もいらない。普通の高校生に、なりたかったのに。

月から視線を外し、膝を立て、額をつける。

自由を与えないなら、中途半端な施しなんていらない。

いっそのこと、完全に閉じ込められればこんな風に悩んだりしないのに。

中途半端に優しくしないで…。
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