私のご主人様Ⅱ
「何よあいつ…」
「やだ季龍くんが…」
教室に入っても、小言はやまない。昨日牽制に来た女子の群れに睨まれた。
近づくなって言っただろと言わんばかりだけど、不可抗力だってば。
こっそりため息をついて、席につくとやっと手を離してくれた。
「ひゅ~。何々、季龍クン。琴音チャンと仲良く登校しちゃって」
そしてまた出ためんどくさい男。胡散臭い笑みを浮かべながら近づいてくる。
季龍さんはまるで聞こえていないように視線さえ向けていない。
「琴音チャンってさ、季龍クンのカノジョなの?」
馴れ馴れしく肩に手を回すなっ!振り払うと、大袈裟に怖い怖いと降参のポーズをする。
…この人なんか嫌な感じがする。この人の目、嫌だな…。
「ねぇねぇ、教えてよ。ね?」
「…」
しつこいなぁ。睨んでもヘラヘラした態度は変わらない。でも、目が笑っていないような気がする。
何だろう。隠すのがすごく上手いからよくわからない。