私のご主人様Ⅱ
お互いに視線を外さないまま、探り合うような雰囲気に包まれる。
「琴音、相手にしなくていい」
不意に聞こえた季龍さんの声が緊張の糸を断ち切る。
季龍さんがそう言うならほっとけばいいかな…。でも、この人絶対何かある。警戒だけは続けよう。
顔はしっかり覚えて視線を外した。
「えぇ、ちょっと季龍クン教えてくれたっていいじゃん?昨日も一緒に来てるし、一緒に帰ったでしょ?…もしかして、一緒に住んでるとか?」
…反応するな反応するな反応するな反応するな反応するな!!
この人なんなんだ?どうしてこんなに探りを入れようとする?
バカみたいに振る舞ってるのに核心をやたら突こうとしてる。
ただの興味?それとも…。ちらっと様子を見るとニコニコして表を繕ってる。
「ん?反応しないってことはそうなの?どうなの?」
「…黙れ」
季龍さんの低い声が教室の空気を凍りつかせる。