私のご主人様Ⅱ

…怒ると空気を変えてしまうほどの気を出すんだ。勝手に震える手を強く握った。

「…そ、そんなに怒らなくてもいいじゃん?ねー、仲良くしよーよ」

「仲良く?…っは、舛田組の息子が何言ってやがる」

「っ!?」

嘲笑うような笑みを浮かべる季龍さんに、初めて表情が崩れる男。

なるほど、情報収集か。この人は突然現れた私が季龍さんにとって何なのかを推し量ってるってわけだ。

それで使えるなら使おうとしてる…。

定番すぎて逆に騙される気にもなれないなぁ。

「…はは、知ってるんだねぇ。季龍クン。知らないと思ってた」

「馴れ合う理由もねぇ。二度と近づくな」

完全に壁を作られた男の負け。これで近づくものなら報復が来てもおかしくないと考えるから下手に動けなくなる。

うまいなぁ、季龍さん。力のある人はその力の振るいどころが試されるけど、タイミングが上手い。

のんきに感心してしまった。
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