私のご主人様Ⅱ

「お待たせしましたね。それでは行きましょうか」

「“よろしくお願いします”」

軽々と2人分の食事が乗ったお盆を持つ田部さん。私は自分の分とコーヒーが乗ったお盆を持った。

奏多さんと暁くんにまた後でと伝えるけど、奏多さんの表情はまだ心配するように歪んだままだ。

「…あの、田部さん俺たちも…」

「旦那様は琴音さんと2人で話したいとおっしゃっているんですよ。邪魔になると分かりませんか、奏多くん」

ついていくと言いかけた奏多さんを田部さんは容赦なく切り捨てる。

その言葉は厳しくて、奏多さんの行動を責めるようだった。

奏多さんは納得していないと顔にははっきり出ていたけれど、謝罪を口にして私を見る。

「…せめて、離れの前まで」

「奏多くん。あなたが琴音さんから離られなくなってどうするんですか。それに、あなたのその行動は琴音さんを不安にさせると分かりませんか」

奏多さんの言葉を遮った田部さんの言葉は、的確に奏多さんに冷静さ戻す。

それを証拠に奏多さんははっとして、すみませんでしたと頭を下げた。
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