私のご主人様Ⅱ
「…その花束の話は後にしようか。本当はもっと早くキミと話したかったんだけどね」
ずっと薔薇を見ていたことに気づく。
季龍さんのお父さんに視線を向けると、意味ありげな笑みを浮かべていたけれど、その笑みは消えて、少し悲しげな色を帯びる。
「見ていて気づいているとは思うけど、ここにいるのは家事もろくに出来ない男ばかりでね。キミを買う前にも何人かキミを買った、あの場所に似たところで女性を買っていたんだ。家政婦をしてもらうためにね」
季龍さんのお父さんは話ながらもお昼に手をつけ始める。
今日は前に計画していたお好み焼き。季龍さんのお父さんの分は一口大にあらかじめ切っておいた。
「うん、うまい」
「“あ、ありがとうございます”」
「キミも食べなさい。話はたくさんあるんだ」
促されて、食べにくいけど食べ始める。季龍さんのお父さんは箸を進め、時々思い出したように口を開く。