私のご主人様Ⅱ
その後お昼を食べ終わり、食後のコーヒーを用意すると、また笑ってくれた。
「今はこの朝の1杯が楽しみでね。淹れたてを飲みたくて、台所に直接行こうとしたら田部に止められてしまったよ」
実に残念だと言った季龍さんのお父さんは、でもいつか行くけどねといたずらっ子のような顔で続けた。
待ってますとタブレットに打ち込むと、豪快に笑われた。
「はぁ、キミは本当に面白い子だな…。初めて会った時も…。いや、あれで最初で最後のはずだったんだけどね」
季龍さんのお父さんは、自分の背にあるガラス張りのショーケースに入った薔薇の花束に視線を移す。
それにつられてそれを見ると、やはりこの部屋には合っていないと、少し浮いて見える。
「あれに見覚えがあるんじゃないかい?」
「?」
あの花束に…?よく見ると、カップのような形の、白い薔薇。
種類は…確か…。