私のご主人様Ⅱ
「何騒いでる」
「!」
突然響いた声に驚いて振り返ると、季龍さんがいた。
い、いつの間に…?
季龍さんは私をじっと見ていて、その表情は気のせいか険しい。
でも、よくよく視線をたどってみると、奏多さんに隙間なく抱きついているところを見てる…?
「琴音ちゃん、離してくれる?」
「?」
顔をあげると、少し困った顔の奏多さん。珍しいな、奏多さんが離してって言うなんて。暁くんにはすぐ言われるけど…。
言われた通りに離れると、唐突に肩を掴まれて後ろに引かれる。
構えもなにもしてないから抵抗も出来なくて、倒れるのを覚悟して目を閉じたけど、すぐに受け止められた。
「親父と何してたんだ?」
「“お喋りしてました。楽しかったです”」
「ここちゃん話してただけらしいっすよ」
受け止めてくれたのは季龍さんで、離れようとしたけど肩を掴まれたままなのでそのまま話す。
でも、どうしてわざわざ来たんだろう。台所に来るなんてこと今までほとんどなかったのに。