私のご主人様Ⅱ
肩を掴まれたままなので向き合うことも出来ず、顔を上げて季龍さんを見上げる。
…けど、首が痛くなってきた。
「…」
は、離してくれないかな。本当に首が痛い…。
とりあえず視線を前に戻すと、目を丸くさせて固まった奏多さんと暁くんの姿がある。
なんで固まってるんだろう。…あ。
「!!?」
「琴音?」
「“コロッケ!コロッケ!!”」
焦げちゃうっ!すっかり忘れていたコロッケが油の中で浮いてる!しかもなんか焦げ茶色で!!
季龍さんの手を逃れてコロッケに駆け寄って油から上げる。ギ、ギリギリセーフ?コロッケは何とかまだ食べられそうな色をしていた。
はぁ、びっくりした…。数はまだあるのでまた入れて、箸を構える。もう焦らないもんね。
じっとコロッケを見ていると、頭をポンとされる。
「何かあったらすぐに言え」
それだけ言った季龍さんは台所を出ていく。伸洋さんもそれに続いて台所を出ていって、結局残ったのは私と奏多さんと暁くんだけ。
…季龍さんも心配、してくれたのかな。たとしたら、源之助さんどれだけ怖がられてるんだろう。
やっぱり今度会ったら聞いてみよう。そんなことを思いながらコロッケをあげ続けた。