私のご主人様Ⅱ
薔薇の名前
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『琴葉!どこにいる!!琴葉!!』
『っはい!ここにいます!!』
せっせと机の下に潜り込んで掃除していると、旦那様の大声に驚いて顔を出す。
旦那様に呆れた顔に気まずさを感じながら机の下から出ると、旦那様の後ろには知らない顔の男性と私と同い年くらいの男の子がいて、更に気まずさを感じた。
『客間に案内しろ。私が行くまで相手をしていなさい』
『かしこまりました』
来客なんて聞いてなかったけどな…。しかもなんで旦那様の来客を私が対応するんだろう。メイド長に言わなきゃあとが怖い…。
思うところはいろいろあったけど、とりあえずそれは放置してお客様に向き合う。
『はじめまして。宮内琴葉と申します。客間にご案内させていただきます』
『これは丁寧にどうも。よろしくね』
『はい。こちらにどうぞ』
旦那様が早々に立ち去っていくのを横目に見ながら、お客様を客間に案内する。