私のご主人様Ⅱ

『ありがとうね。若いのに良くできていたよ』

『光栄です。ありがとうございます』

…って、旦那様いついらっしゃるの?

コーヒーに口をつけるお客様を見ながら、現れる気配のない旦那様に少し焦る。

話題がないのに、この場を持たせる自信がない。さーてと、退出して逃げる?それとも棒立ち?どうしよう。

『…1ついいかい?』

『っはい。私が答えられることであれば』

コーヒーを半分ほど飲み終わった初老の男性は、唐突に口を開く。返事をすると、初老の男性はさきほどまで熱心に視線を向けられていた薔薇に視線を向ける。

『あの薔薇、名前は知っているかい?』

『申し訳ありません。全ては把握しておりません』

『…そうか。いや、すまない。忘れてくれ』

一部なら答えることはできると言えばよかったのかもしれない。

言い方が悪かったか、それ以上は聞かれることなくただ時間が過ぎていく。
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