旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「杏璃!?どうしてここに……しかも、どうして関と?」
「え!?あっ、あー……」
って、しまった!隠れて逃げておくべきだった!
玲央さんもまさか私と関さんがともにいるとは思わず、驚きを隠せないのだろう。
先日は『関オーナー』と呼んでいたにもかかわらず、素であろう『関』という呼び方が出てしまっている。
けどどうしよう、この状況をなんて言えば……!
冷や汗をダラダラとかきながら焦っていると、そんな私を気にせず関さんはにこりと笑う。
「立花社長、どうも。こんなところでお会いするなんて奇遇ですね」
「あ……えぇ。付き合いで、そこの店で少し食事を」
食事を終えて帰るところだったのだろう。右手に鞄を持った彼は近くのイタリアンレストランを目で指す。
「そちらこそ、どうして彼女と?」
「友人の紹介で縁あって知り合いまして。デートしてたんです」
にこりと笑い私の肩を掴んで抱き寄せると、関さんは言葉を続ける。
「聞きましたよ。彼女、ただの他人だそうじゃないですか。立花社長ほどの方が嘘をついて見栄張るなんて……他社に知られたら格好つきませんねぇ」
それは、『お前の弱みを握ってるぞ』とでもいうかのように挑発する言い方。
ピク、と眉間にシワを寄せる玲央さんに、関さんはニヤ、と嫌な笑みを浮かべて私へ視線を戻す。