旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「杏璃、彼と帰るよな?じゃあ俺はここで。また連絡するよ」
そしてひらひらと手を振ると、彼はその場をあとにした。
よ、余計なことを……!!
どうせバレることかもしれないけど、わざわざ挑発するように言い残していかなくてもいいじゃない!
そう心の中で怒るように叫んでも当然関さんには届かず、残された私と玲央さんには気まずい無言の空気が流れる。
「あ、あの……玲央さん?えーっと……」
頑張って会話を切り出そうとした。すると突然、玲央さんは私の腕を掴み引っ張り歩き出す。
「わっ、玲央さん?」
いきなりなに?
驚き、戸惑いながらついていく私に、玲央さんは背中を向けたまま無言だ。
そしてそのまま少し歩くと、近くの駐車場に停めてあった彼の白い車にふたり乗り込んだ。
玲央さんは無言のままキーを差し込むと、車を走らせ出す。
せまい車内は、気まずさからぎこちない空気で埋め尽くされる。
そのまま車を走らせて15分以上が経とうとしているだろうか。目黒にさしかかったところで、玲央さんは突然口をひらいた。
「お前、なんであいつといた?」
あいつ、というのは関さんのことだろう。
突然のその話題に驚いて一瞬声が詰まるけれど、慌てて答えた。
「結花の彼氏の先輩だったらしくて……その、紹介されて」
「あー……それでバレたってわけか」
ニヤリとする関さんと言い逃れ出来ない私、という図が簡単に想像ついたのだろう。玲央さんは顔を前に向けたまま納得したように言う。