旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~



「けどまさか、友達に男紹介してもらうほどお前が男に飢えてたとはな」



う、飢えるなんて!

嫌な言い方をされ、私はムッと反論する。



「ち、違います!結花の紹介で仕方なく……別に関さんと付き合うとかないですから!」

「へぇ、じゃあなんであいつと食事してるんだよ。今日も、この前も」



目をこちらに向けることなく問う彼に、心臓はギク、と嫌な音を立てる。



なんで、なんて。

自分が怒って水をかけたせいで関さんを怒らせ、『婚約者という嘘を周りに言う』と言われた……なんて自業自得なこと、言えない。



そんな気持ちから、「ふん」と誤魔化すように顔を背ける。



「べ、別に玲央さんには関係ないじゃないですか」

「……関係ない、ねぇ」



ぼそ、とつぶやく声が聞こえると同時に、車はゆっくりと停止する。

目の前の信号を横目で見ると、赤い光が見えた。



瞬間、突然背後から伸ばされた手が私の顎に触れ、顔を彼の方へと向けさせる。

目の前には、こちらを見つめる玲央さんの顔があった。



突然触れるその指先の感触と、真っ直ぐ見つめる茶色い瞳に、心臓はドキッと強く鳴る。



< 134 / 227 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop