旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「けどまさか、友達に男紹介してもらうほどお前が男に飢えてたとはな」
う、飢えるなんて!
嫌な言い方をされ、私はムッと反論する。
「ち、違います!結花の紹介で仕方なく……別に関さんと付き合うとかないですから!」
「へぇ、じゃあなんであいつと食事してるんだよ。今日も、この前も」
目をこちらに向けることなく問う彼に、心臓はギク、と嫌な音を立てる。
なんで、なんて。
自分が怒って水をかけたせいで関さんを怒らせ、『婚約者という嘘を周りに言う』と言われた……なんて自業自得なこと、言えない。
そんな気持ちから、「ふん」と誤魔化すように顔を背ける。
「べ、別に玲央さんには関係ないじゃないですか」
「……関係ない、ねぇ」
ぼそ、とつぶやく声が聞こえると同時に、車はゆっくりと停止する。
目の前の信号を横目で見ると、赤い光が見えた。
瞬間、突然背後から伸ばされた手が私の顎に触れ、顔を彼の方へと向けさせる。
目の前には、こちらを見つめる玲央さんの顔があった。
突然触れるその指先の感触と、真っ直ぐ見つめる茶色い瞳に、心臓はドキッと強く鳴る。