旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「関係なくちゃ、俺には教えられないのか?」
その言葉の、意味は?
『関係ない』と跳ね除けても、知りたいと思ってくれているということ?
見つめる目はいつもの冷静さの中に、苛立ちのような、焦りのような色を映している。
距離を詰め、そっと顔を近づける彼に、息が止まりそうになる。
「……杏璃」
そして息がかかるほど近づいた唇が、小さく私の名前を呼んだ、瞬間。
背後からプッと鳴らされた短いクラクションに、前の信号が青に変わっていたことに気づいた。
玲央さんはすぐ前を向き直すと、またアクセルを踏んで車を走らせる。
無言のままの、車の中。私は彼の方を見ることが出来ずに、自分の手元ばかりを見つめている。
……なに、さっきの。
彼の先ほどの言葉の意味も、行動の先にあったことも、わからない。
ただひとつだけわかるのは、ドキドキと鳴るこの胸のときめきは、刷り込みなんかじゃないってこと。