旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
そう心に決めて、数時間。
夕方6時を迎えた頃、私の姿は品川にある関さんのホテル近くのカフェにあった。
人の少ない小さなカフェ。その端にある4人がけの席に座り、先に注文したホットのカフェオレをひと口飲む。
「待たせたな」
「……関さん。すみません、忙しいのに呼び出したりして」
「いや、寧ろお前から誘われるとはな。結花ちゃんも『杏璃が積極的になるなんて!』って喜んでたよ」
ゆ、結花……。
そういえばさっき私が電話したときも『もう!なんで関さんと連絡先交換しないの!』と言いながらも、私と彼が上手くいっていると誤解しているのか、結花は嬉しそうな声を出していた。
それを思い出しながら苦笑いをこぼしていると、関さんは店員さんへ「ホットコーヒーひとつ」と注文をしながら席に着く。
そんな彼に私は早速話題を切り出す。
「……なんでこの前、わざわざ玲央さんにあんな言い方したんですか」
「いやー、揉めるかなって」
「本当性格悪いですね!」
完全に楽しんでる!
じろ、と睨むように見ると、彼はそれも楽しむように「ははっ」と笑った。
「で?この前、どうだった?修羅場になったか?」
「なってませんよ……おかげさまで、気まずくはなりましたけど」
もう、とカップを持ちカフェオレを飲むと、先ほど彼が注文したコーヒーが早々と運ばれてきた。
湯気の立つ白いコーヒーカップをテーブルに置き、去っていく店員さんに、関さんはコーヒーに砂糖だけを入れて混ぜる。