旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
包んでくれる優しさや、時折見せる子供のような笑顔、失う恐怖を知っている心。
それらは、整った顔だとか社長という役職だとか、そんなものより大きいもの。
そう真っ直ぐに目を見て言い切った私に、関さんは少し驚いた顔をした。
かと思えばそれを隠すようにまつ毛を伏せ、ふっと鼻で笑う。
「そういう真っ直ぐさ、ウザい」
そして彼からこぼされたのは、私の言葉を片付けるひと言。
「やっぱり言い触らそうかな。『立花は他人にを婚約者のフリさせて嘘つくような小さい男だ』って。がっかりしたり笑う周りの人間の反応が目に浮かぶ」
「なっ……!」
なんで、そんなこと……!
きっと言いふらすとなれば、もっと言葉を盛って上手く言うだろう。
関さんから発せられる言葉が、玲央さんの信頼や支持を下げてしまうことが簡単に想像ついた。
失望される、笑われる。
私の、せいで?
そんなの、いやだ。
「それが嫌なら、抱かせろよ」
「え……?」
そんな私の心を読むように、関さんから唐突に言われたひと言に、私は驚き目を丸くする。
関さんはテーブルの上に置いた私の手にそっと右手を重ねる。
肌から伝うひどく冷え切ったその低い体温と、この手を包む骨っぽい手が、玲央さんとはまた違う男性なのだと感じさせた。