旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「あの、いつから檜山さんが……?」
「今日の午後くらいからだ。檜山にふたりが合流したら俺に連絡しろ、ライバル会社の奴が当社関係者になにをするかわからないから、と伝えておいた」
今朝の私の様子から見て関さんと会うだろうことを予想し、会うなら夕方以降だということも考え付いたのだろう。
それにしても檜山さん、秘書って大変だ……。
今度会った時に『あなたのおかげで1日車の中でしたよ』と嫌味をネチネチ言われるのが想像つく。
「ていうかお前なぁ……ああいう時はきちんとはっきり断れ!バカ!例え色気のない体だろうと安売りするな!」
「い、色気がないは余計です!」
確かに色気はないだろうけど!
口を尖らせ怒る私に、玲央さんは呆れたように「はぁ」と息を吐く。
「……なんでちゃんと断らなかった。関ならいいと、思ったか?」
「違う!」
触れた彼の手を、はっきりと拒むことができなかった。
その理由は、頭に思い浮かべた姿が、関さんの姿でも自分の姿でもなかったから。
玲央さんのことだけを、考えていたから。