旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「……玲央さんのこと、守りたくて」
小さくつぶやいたひと言に、その顔は少し驚く。
「関さんを紹介されたことは本当に偶然なんです。けど……関さんが私に目をつけたのも、そもそもは私が怒らせてしまったからで」
「怒らせたって……なにしたんだよ?」
外面のいい関さんが本性を丸出しにするくらい怒る理由とはなんなのか、純粋に気になったのだろう。
不思議そうに問いかける玲央さんに、私は恐る恐る口を開く。
「……顔にシャンパンをかけて、啖呵を切りました」
あぁ、言ってしまった。これ、絶対怒られるよね……!
『はぁ!?』と怒られるのを想像して、ぐっと歯を食いしばり覚悟を決めた。
ところが、彼から聞こえてきたのは「ブッ」と吹き出す笑い声。
「シャンパンって……啖呵って……本当か!?あいつに!?」
「だ、だって関さんが玲央さんのことをバカにするから!ついかっとなってしまったというか……なんというか」
感情的な己の行動を思い出ししどろもどろになりつつ話す私に、玲央さんは声を出して笑う。
そして笑いすぎて苦しそうな息を整えながら私を見た。
「お前は、俺のことばっかりだな」
「……そりゃあ、嫁ですから」
言い訳のように自分で言った『嫁』の言葉が、どうしてかいい意味にも悪い意味にも感じられる。
けれど玲央さんは、困ったように笑みをこぼした。