旦那様と契約結婚!?~イケメン御曹司に拾われました~
「ていうかさ、資格とかないの?特技とか、なにか仕事に活かせるものとか」
「え?あー……はい、すみません」
「学生時代からその歳までなにしてきたの?言われたことだけしかやらないような社員じゃ使えないよ」
うっ……耳が痛い。
けど我慢だ。笑顔のまま、やる気をアピールして……。
「ちなみに趣味は?なにかある?」
「あっ、はい!食べることが大好きです!」
もしかしてここから話題が膨らむかもしれない。そんな期待も込めて満面の笑みではっきりと言い切る。
……が。
「……へぇ」
その人から発せられたのは、短いそのひと言と、「フッ」と鼻で笑う声。
それひとつで、その他に言葉をつけたさなくとも『こいつ、バカだろ』と言っているのが分かった。
完全に、相手にされていない。はっきりと伝わってきてしまった途端に、自分の中のやる気がガラガラと音を立てて砕け散った。